杞憂の重層化
2020年03月21日
我々の周囲でも既に新型コロナウイルスが蔓延していて、抗体を保有している人も相当数存在していると理論的には考えるべきだろう。しかし日本においては欧米諸国で行われている簡易検査ができないのが現状である。したがって諸外国に比べて感染が抑えられているなどとはとても言えない。一方現在及び過去の感染両方を(igG igMで)調べるキットがクラボウから先週始めに発売されたので、早速注文して(騒ぎになる前の)1月初旬に経験した新型コロナウイルス感染が疑われる患者さんや、それに接している自分も検査して、上記の仮定(既に抗体を保有している人も沢山いるはず)を証明し、世界的なパニック状態に微力ながら警鐘を鳴らすことができればと考えているが、キットは500余りしか発売されていないようで、納入がいつになるかは全く不明とのこと。
『杞憂』という言葉は中国の杞の国に「いつ空が落ちてくるか分からない」と言って夜も眠れなかった人がいたという故事に由来する。写真は青空に映える開花間近のクリニック裏の緋寒桜だが、田舎の空は相変わらずどこまでも青く、花々は厳然として美しさをたたえている。